第2686回 例会 
 卓話 「世界の難民と日本~一人ひとりにできること~」
 平和と紛争予防/解決月間

担当:国際奉仕委員長 小林 透君
講師:認定NPO法人難民支援協会代表理事 石川えり様


 

認定NPO法人難民支援協会 代表理事 石川えり様


 紛争などを逃れて難民・避難民となった人は第二次世界大戦以降最悪の状況で6000万人を超えました。特に悪化しているのはシリアの状況で、2200万人の人口の2人に1人はすでに難民となり、国内か国外へ逃れている状況です。国外で最も逃れているのはトルコの230万人で、欧州よりもずっと多い数字です。内戦後すでに5年が経過しようとしていて、最初は周辺国で帰国の望みを持っていた人たちも、それが薄くなり、食糧配給も減る中で命を懸けて、希望が見える国へ移動しようとしています。欧州に多くの難民が移動している状況ですが、厳しい風も吹いているのが現状です。しかし、受け入れるという原則を崩さず対応している国も多く、各国の状況を丁寧に見ていく必要があると考えます。加えて、地続きでないアメリカ、カナダ、オーストラリアなどの国々は、難民を迎えに行って受け入れるという仕組みを採用しており、カナダはパリの同時多発テロ事件の後、2万5千人を今年の3月までに受け入れようとしています。

 翻って日本の状況は、昨年の難民認定は27人と非常に少ない状況です。難民となるには、証拠をすべて自分で作成する等の厳しいハードルが課されています。また平均3年間の待機期間中、最低限のセーフティーネットがなくホームレスを余儀なくされる人が続出するなど厳しい状況に置かれています。難民はいつまでも支援を必要とする人ではなく、自立し、私たちと同じように社会に関わり、貢献することを願っている人も多くいます。東日本大震災の時、多くの難民は第二の故郷である日本で被災者を助けたいと志願して被災地に行き、支援に携わりました。日本に逃れてきた難民が、日本社会の中で排除されず、包摂されていくために、民間の支援の立場からできることをしていきたいと思います。皆様から寄せられたカンパは2万4千円となりました。温かいご支援に心よりお礼申し上げます。また、現場での支援を中心に大切に活用させていただきます。

クラブ会報・IT委員会 2016年 2月 02日 火曜日 | | 例会