第2705回 例会 「司法試験と司法修習の思い出」
担当:前島憲司君
講師:弁護士法人前島綜合法律事務所 弁護士 佐藤和也様
1 初めまして,前島綜合法律事務所で弁護士をしております佐藤と申します。
本日は,司法試験と司法修習というテーマでお話させていただきますが,主に司法修習の事を中心にお話させていただこうと考えております。
2 司法修習とは,司法試験を合格した者が行う,1年間の研修のことをいいます。司法修習を行い,司法修習の最後にある試験を合格して,初めて法曹資格を得ることが出来ます。司法試験を合格しただけでは,弁護士や検察官,裁判官になることはできません。
3 さて,司法修習は,大きく分けて2つのセクションに分かれており,一つは実務修習,もう一つは座学の修習になります。実務修習はさらに大きく分けて4つのセクションに分かれており,弁護修習,検察修習,民事裁判修習,刑事裁判修習となります。司法修習の最初に,修習生が全国各都道府県に割り当てられ,それぞれ修習を行っていくことになります。私は,群馬県で修習を行いました。
弁護修習は,指導担当の弁護士の元について,裁判や調停を傍聴したり,弁護士会主催の委員会や会議に参加するなどを行いました。
検察修習では,実際に被疑者の取り調べを行い,調書を作り,起訴不起訴の判断をしたうえで,上司の決裁を得るまでを全て修習生が行い,修習の中でも最も楽しい思い出となりました。
続いて,裁判修習は,法廷傍聴が主な修習であり,証人尋問の傍聴等を行いました。
4 その後,実務修習を経て,座学が中心となる修習を行い,最後にあるのが通称2回試験と呼ばれる試験です。合格率は90%を超える試験のため,難易度は高くはないですが,8時間ずっと書き続けなくてはならない試験が5日間行われるという点と,万が一不合格となった場合のペナルティが大きいという点で,どちらかといえば,体力,精神力が試される試験となります。
5 続いて,司法試験についても少しだけお話させていただきます。司法試験は,司法制度改革以降,合格率,合格者数ともに上がり,私自身以前のような難易度の高い試験ではなくなったと考えています。私としては,合格者数が上がった結果,試験に合格するかどうかは,本番でいままでやったことを,自信をもって答案に反映できるだけの精神力を持ち合わせているかどうか,試験が終わるまで十分な体力を持ち合わせていけるかどうかだと考えています。
実際,今年度の司法試験においては,試験中に受験生が倒れて試験が中断したという事が起こったと聞いています。体調面,精神面についてしっかりとした状態を保つことができるかどうかが,合格できるかどうかの鍵であって,かつ実務家になる上でも重要なことなのではないでしょうか。
6 最後になりますが,皆様方が司法修習生とお会いした際には,将来の法律家の卵である彼らに対し,是非温かい言葉をかけていただければと思います。
本日はお話をする機会を与えていただき,誠にありがとうございました。