第2715回 例会 卓話「ロータリーと識字率」

担当:クラブ研修委員長 柳田純昭君

ロータリーと識字率

 国際ロータリーは、1986年世界運動として、識字率向上を重要課題に採択し、1997年7月の会合で毎年7月を識字率向上月間と定めました。そして2006~07年度より月間は3月に移行し、その後、ロータリ一戦略計画により2012年よりRIは「基本的教育と識字率向上」として人道的奉仕の6つの重点分野である「平和と紛争予防/紛争解決」、「疾病予防と治療」、「水と衛生」、「母子の健康」、「経済と地域社会の発展」に位置付けられ、昨年から9月が「基本的教育と識字率向上」の月間になりました。


基本的教育と識字率向上月間

 2014年10月RI理事会は、重点分野である「基本的教育と識字率の向上月間」である9月を、地域社会で基本的教育を普及し、識字能力を高めるためのプログラムを支援し、地域社会の参加を促進、成人識字率の向上、教育における男女格差を減らすための活動、基本的教育と識字率向上に関連した仕事に従事することを目指す専門職業人のための奨学金支援を強調する月間としました。
 識字率とは、一定の地域で「15歳以上の人口に対し、日常生活に支障なく文字の読み書きのできる人の割合」を表します。
 読み書き、計算能力が社会に与える恩恵は議論の余地がありません。識字社会では、経済発展もより速やかで、健康問題についての認識も高く、特に女性の識字能力は、教育的、社会的、経済的活動の参加に大きな扉が開かれます。
 2015年現在の世界の人口は、73億2478万人で、ユネスコの推計によりますと、世界にはいまだ7億7600万人の読み書きのできない人がいて、全世界で7500万人の子供が教育を受けていません(そのうち4100万人は少女です)。特に女性は世界の非識字率人口の64%を占めていると言われています。世界183カ国の中で識字率90%以上の国は104カ国ある一方、70%に満たない国が33カ国、50%にも満たない国が12カ国もあります。


識字プロジェクトの実際例

✴ネパールに学校(所沢RC)
1995年~ 2001年、日本ユネスコ協会に資金寄付。2002年よりさいたまユネスコ教会に協力。2008年までに6校の校舎建設。2003年から3年間、延べ300人に奨学金授与。

✴ネパールにコミュニティセンター(東京成城RC)
女性の識字と保健教育を目的としたコミュニティセンター建設。

✴ベトナムに絵本(山口南RC)
絵本をベトナム人10人と日本のボランティアの協力でベトナム語に翻訳し送り続ける。

✴ボリビアに寺子屋(不破の関RC)
ユネスコ世界寺子屋運動に、岐阜県ユネスコ協会を通じて寄付。自治会の協力を得て書き損じハガキの回収で総額400万円近くに。

✴ネパールやフィリピンに鉛筆1万本運動(鳥栖RC)
9年目の運動に、一時期中止の声もあったが、文具収集箱への子供達の熱意と、文具の購入が出来ない子供達がたくさんいることに、何とか支援をしたいと続いた活動である。

✴ベトナムに奨学金(岐阜サンリバーRC)
学校に行きたくも行けない子供達がたくさんいる。学校も壊れかかったものがある。クラブで識字率向上を目的に「国際協力基金箱」設置。毎月第一例会に一人1000円を募金してもらい、約370人分の授業料の一部負担、その他の支援が行われた。

他にも

✴フィリピンにシャープペンシル(吉川RC)
✴タイの小学校 食堂をリニューアル、図書寄贈(金沢みなとRC)
✴ラオス5小学校に机と椅子(千葉港RC)
✴アフリカギニアの小学生にランドセルを贈る(熊本西綾RC)
✴ネパールに学校(東京武蔵村山RC)


ロータリアンが世界で教育の改善に取り組んでいる例

✴台湾のTachia Centennial RCでは、学ぶこと、本を読むことの喜びを子供たちに知ってもらおうと、新生児から5歳までの子供用の本を寄贈しています。「Bookstart」と名付けられたこのプロジェクトでは、台中市教育局が推奨した本が、既に130世帯を超える家庭の子供たちに寄贈されました。

✴バハマ諸島にあるNassau Sunrise RCでは、地元の幼稚園で毎週、読書の時間を設け、クラブ会員が子供たちに本を読んで聞かせることで、読解力を磨き、本の大切さを知ってもらう取り組みを行っています。

このほかにも、世界の識字率を向上させるために、たとえば次のような識字プロジェクトを支援することが出来ます。

✴カンボジアのプノンペンRCは、この国の僻村で活躍する移動図書館に対する資金援助を求めています。

✴ケイマン諸島のCayman-Sunrise RCは、地元で行う識字教育支援プログラム「LIFE」の支援者を求めています。


識字率向上月間に教育と識字の支援を

 世界各地のロータリークラブは、基本的教育の提供と識字率の向上を目指す活動に取り組んでいます。プロジェクトの実施地によってさまざまな事情が異なることを踏まえ、憶測でニーズを決めないよう、現場の声に耳を傾けることが大切です。

地域社会のニーズを調べ、地域社会のニーズに応える支援を。

クラブ会報・IT委員会 2016年 9月 06日 火曜日 | | 例会