第2670回 例会 「反発をうかがう日本株」

担当:小山賢司君

8月下旬、世界の株式市場は連鎖的な急落に見舞われました。
その大きな要因となる1つ目は「中国」

① 中国経済の先行きに対する不安心理の高まり ② 原油安に象徴されるリスク回避姿勢の強まり ③ 米FRBの利上げ観測に伴う新興国からの資金引き上げ懸念が複合的に絡み合ったものと考えられます。

要因の2つ目は「原油安」 ① 中国の景気減速による需要悪化懸念 ② イランの経済制裁解除による原油輸出拡大観測 ③ 米国での生産調整の遅れによる原油供給過剰

要因の3つ目は「米FRBの利上げ観測」

世界連鎖株安の要因として3つの点を挙げましたが、最大の不安材料と目される「中国の景気減速」は心理的な側面によるところが大きいと思われます。

そこで、市場心理改善のきっかけとして注目したいのが「中国当局の政策対応」で、主要国の中で財政の出動余地が高い同国による経済対策が本格反発の契機となる可能性が高いと思われます。米国の利上げについては、いったん織り込んでしまえば、市場の不安材料としての存在感は急速に低下すると考えられます。

さて、日本はというと日本株が急落した一方、対照的に好調なのが日本の企業業績で、日経225採用企業の 15年4-6月期決算は29%経常増益となっています。その主な要因の1つ目は「米国市場での販売が好調」であるといえます。大和証券の企業業績見通し(2015年9月)の為替前提は1ドル120円で、米ドル円の為替レートは今期の企業業績にとって、やや上振れ要因として働くと思われます。

2つ目は「原油安」で、日本株には原燃料安として幅広い業種でコストダウン効果の発現が期待できます。

3つ目は「インバウンド消費」です。内需系企業の業績拡大等牽引役に上方修正が目立つ形となって、7月以降もインバウンド消費は順調に拡大していると考えて良いと思います。

ファンダメンタルズの悪化を伴わない中での今回の急落により、日本株は相対的な投資妙味を強めていると思います。12ヶ月予想EPSも14.7%と主要国の中でもっとも高いにもかかわらず、予想PERは13.5倍と世界平均や米国と比べて割安感が強くなっています。

その内需好調なことと合わせ外需関連株がまだまだ割安であるということが言えます。

鉄鋼・非鉄や機械を除くと多くの業種が4-6月期に上方修正しています。今回の下落局面で投資妙味が高まった業種といえるのではないでしょうか。

 

クラブ会報・IT委員会 2015年 9月 29日 火曜日 | | 例会