第2733回 例会 卓話「職業奉仕について」
担当:髙橋 宏君講師:RI第2780地区職業奉仕委員会 小泉隆一郎様(伊勢原RC)
RI第2780地区職業奉仕委員会 小泉隆一郎様
「職業奉仕とは何か?」
20世紀初頭にアメリカで誕生したロータリークラブですが、その時代における社会背景・経済状況は、移民の国であり大部分は貧しい階層の人々でした。金持ちになること、成功する事がアメリカに来る目的であり資本を蓄積した者のみが成功者として評価を受ける徹底した資本主義は、商道徳と職業倫理の低下を招く悪弊となっていました。当時、人々が考える奉仕の概念は、神につかえることか、兵役等を通じて国家につかえること、又は奴隷として主人につかえることぐらいの意味しかなかった言葉がロータリー理念を行動に移すことで、実践哲学を表す言葉として定着しました。キリスト教を背景として宗教的観点から説いたのが、フランクリン・コリンズの「超我の奉仕」。経営学・販売学経営理論として説いたのが、アーサー・フレデリック・シェルドンで「最も奉仕する者、最も多く報われる」です。この二つの標語が今日まで。ロータリーのモットーとして引き継がれ、ロータリーの標語として大切にされてきております。
集大成された職業奉仕の理念は、1989年職業宣言として採択されました。2011年に職業宣言からロータリー行動規範として変更され創設され、その後ロータリーの戦略計画が採択され2014年に行動規範が5項目に修正され次のとおりになりました。
1.個人として、また事業において、高潔さと高い倫理基準をもって行動する。
2.取引のすべてにおいて公正に務め、相手とその職業にたいして尊重の念をもって接する。
3.自分の職業スキルを生かして、若い人びとを導き、特別なニーズを抱える人びとを助け、地域社会や世界中の人びとの生活の質を高める。
4.ロータリーやロータリアンの評判を落とすような言動は避ける。
5.事業や職業における特典を、ほかのロータリアンに求めない。
同年10月に第5項目を抹消し最新のロータリアンの行動規範となり現在に至っております。2014年行動規範まで定着してきました5項目が抹消されたことが大きく変わったとこを是非皆さんで考えてみてください。ロータリーアンが行動規範に沿って行動しようとしているかどうかを、「四つのテスト」でチェックし行動すれば良いものと考えます。
前年度地区研修協議会における松宮PGの基調講演で、良い仕事(職業)とは、「よい人生と一体であるというものである」よい人生とは、自分が持っている能力(心・技・体)を絶えず練磨し、そのうえで「他者を生かすためにできる限りの貢献をする」ことこそが、人間としての生き方として最高のものである。と話をされました。すなわち職業と奉仕は一体であると説明されております。社会奉仕活動をすることにより、地域社会から「尊敬と信頼と信用」を自分自身が得るのです。そして自分の職業が反射的効果として繁栄する。これがロータリーの職業奉仕です。
職業奉仕の実践の考え方は様々だと思いますが、「利己と利他の調和」自分のことよりもお客のことを考え、みんなのことを大切にして、商売すべきという、近江商人の活動理念であり、2015年地区研修協議会職業奉仕部門での後藤PGの「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の言葉に職業奉仕の理念があらわされていると思います。企業の社会的責任(CSR)が強く叫ばれるようになった昨今この三方よしの考え方が注目されております。職業奉仕という言葉を難しく考える必要はないと思います。平素皆様が行っている職業では、大方の方が、職業奉仕の理念のもと実践をされていると思います。
行動に奉仕の心をこめてお互いに前進いたしましょう。
ご清聴ありがとうございました。